坐禅の時、目を開けるのか?閉じるのか?

智光院では「坐禅中には普通に目を開けておく」と指導をしています。しかし、一般的には「目は半眼にするように」と指導をされることが多いでしょう。また、目を閉じていた方が、心地よい時もあります。ヨガの瞑想では目を閉じます。

一体、坐禅中の目の状態としては、何が正しいのでしょうか? 経典などの記述を検証し、目の状態、開目(目を開ける)・閉目(目を閉じる)について探ってみます。


■参考文献ならびに参考ウェブサイト
『佛所行讃』(佛典講座5)/石上 善應 著/大蔵出版
『摩訶止観』(佛典講座25)/新田 雅章 著/大蔵出版
『摩訶止観研究序説』(学術叢書・禅仏教)/池田 魯参 著/大東出版社
『天台小止観~仏教の瞑想法』/新田 雅章 著/春秋社
『現代語訳 天台小止観』/関口 真大 訳/大東出版社
『臨済宗妙心寺派教学研究紀要 第2号』/臨済宗妙心寺派教化センター 刊
『新版 禅学大辞典』/禅学大辞典編纂所 編/大修館書店
『仏書解説大辞典 縮刷版』/小野 玄妙 丸山 孝雄 編/大東出版社
『仏典入門事典』/大蔵経学術用語研究会 編/永田文昌堂
『明解仏教事典』/永畑 恭典 編/本の友社
『坐禅 ー講本ー』/駒澤大学仏教学部宗学研究会 編
▶ 『財団法人 東京大学仏教青年会』~『仏教文化 第2巻 第2号』「坐禅と瞑想」西 義雄 http://todaibussei.or.jp/ebacknumber/02_02_002.htm
▶ 『大正新脩大藏經テキストデータベース』 http://21dzk.l.u-tokyo.ac.jp/SAT/
▶ 『WWW Database of Chinese Buddhist texts』 http://www.kanji.zinbun.kyoto-u.ac.jp/~wittern/can/can4/ind/canwww.htm

since 2005/4/12 - last modified 2013/8/29


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釈尊成道時の坐禅瞑想

『仏所行讃』の第14章「阿惟三菩提品」には、次のような一節があります。

「仏は彼の七日において禅思して心清浄に、菩提樹にて観察瞪視して目瞬かず。」

これは、釈尊がおさとりを開くとき、7日間の坐禅修行の様子を記述した部分です。

「7日間禅定三昧に入り、心を清らかに保ち、菩提樹の下でこの世の真理を深く慮り、澄んだ眼は一点を見つめ、まばたきをしなかった。」

という意味になります。おさとりを開く最終段階の坐禅瞑想をする釈尊は、目を閉じていない描写になっています。



*『仏所行讃』(ぶっしょぎょうさん)

大正新脩大蔵経 本縁部 192
著者…馬鳴(めみょう)
訳者…曇無讖(どんむしん・385?~433?・中国五胡十六国時代の北涼で活躍)
記事中との関係箇所…阿惟三菩提品第十四。・・・佛於彼七日。禪思心清淨。觀察菩提樹。瞪視目不瞬。・・・

since 2005/4/12 - last modified 2005/4/18


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初期の止観から

中国に仏教が伝わった最初期に翻訳された経典(2~3世紀ごろ)の中に、安世高の訳した『大安般守意経』があります。この経には、数息観と随息観による止観が書かれてあり、「坐禅」という言葉も見られますが、開目・閉目や、調身(坐禅の時の身体の姿勢の整え方)についての記述はありません。なお、『小止観』の「修止観法門調和第四」中の、「第二初入禅調息法」と「第三初入定調心」は、この経典を踏襲した内容になっています。

『修行道地経』と『道地経』(『修行道地経』の部分訳本)には、5種類の止観法が書かれております。そのうちの「白骨観」と呼ばれる行法に、「開目」「閉目」という言葉が見られます。大まかに解読すると、

「目を開けているのも閉じているのも、白骨観修行においては同じこと。」
と読み取れます。



*『修行道地経』(しゅぎょうどうじきょう)

大正新脩大蔵経 経集部 606
訳者…竺法護(じくほうご・231?~308?・中国西晋で活躍)
記事中との関係箇所…神足品第二十二。・・・其修行者。觀人身骸在前在後等而無異。開目閉目觀之同等。是謂爲寂。尋便思惟。頭頚異處手足各別。骨節支解各散一處。是謂爲觀。此骨鎖身因四事長。飮食愛欲睡眠罪福之所縁生。皆歸無常苦空非身。不淨朽積悉無所有。是謂爲觀。取要言之。・・・


*『道地経』(どうじきょう)

大正新脩大蔵経 経集部 607
著者…僧伽羅刹(そうぎゃらせつ)
訳者…安世高(あんせいこう・生没年不詳・中国後漢末期に活躍)
記事中との関係箇所…神足行章第六。・・・譬如人刈芻。左手把芻右手持鎌便斷芻。彼譬如把芻是應止。如斷芻是應觀。譬如行者見髑髏熟諦視。若如開目見。閉目亦見亦爾無有異。・・・

since 2005/4/12 - last modified 2005/4/18


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