恨みを忘れる

昭和29年の11月3日、日本初の怪獣特撮映画「ゴジラ」が公開されました。
ゴジラは、海底に潜んでいた恐竜で、原爆実験がもとで住みかを追われたために、地上に姿を現しました。この映画の背景には、当時問題となった「第五福竜丸事件」があります。アメリカの核実験により、船の乗組員が被爆した事件です。ゴジラは、核爆弾の恐怖、環境破壊、人間のエゴに対する警鐘を、私たちに鳴らしていたのでした。
最近の日本では、核問題のニュースが目を引きますが、世界の他の国々では、派手なミサイル発射訓練あり、内戦あり、テロ行為ありと、悲しい出来事が頻繁に起きているのです。
世界で唯一、原爆を落とされた国として、日本はなぜもっと積極的に、平和のメッセージを発信しないのでしょうか?
ありがたいことに、日本はとても平和な国です。日本は平和すぎるために、戦争の悲惨さやテロの恐ろしさに対して、実感が湧きません。「その平和は、アメリカの核兵器に守ってもらっているからだ」という意見があるのも当然ですし、それが事実です。しかし、そういう部分を強調するのではなく、「他国に対して侵略をする姿勢を見せない」ことこそ、強調すべきではないでしょうか?
「恨みは、恨みによって鎮まらない。恨みは、忘れることによってのみ鎮まる。」
目には目を、の精神では、いつまで経っても争いの輪廻から抜けられません。殴られないためにと、強さを誇示するのでは、動物の縄張り争いと変わらないでしょう。武力を捨て、恨みを捨て、豊かさを求め、先達が大変な苦労をし、そうして日本は今日の平和を手に入れました。
このままでは、本当に恐ろしい出来事が起こりそうだ、、、今日ニュースを見ていて、つくづく感じました。いや、現実には、恐ろしい出来事はあちらこちらで、実際に起きているのです。何が正義で、何が悪なのでしょう? 私たちに警鐘を鳴らしたゴジラまで、いつの間にか「悪い怪獣と戦うヒーロー」みたいになってしまいました…。
精神的な平安こそが、争いの消えた、真の平和をもたらすものと、私は信じます。
(掲載写真は、ニューヨークのワールドトレードセンタービル跡地です。)
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