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天台大師の止観

6世紀に活躍した天台大師智顗は、止観修行を総合的にまとめ上げ、数々の著作を著し、大変な功績を残しました。智顗の著書のうち『小止観』を見ると、

「目を閉じるが、外の光をわずかに遮る程度にする。」

という記述があります。また、『摩訶止観』の注釈書である『止観輔行伝弘決』にも同様の記述があります。ただし『摩訶止観』には、調身に関する記述はありません。

『法華三昧懺儀』でも、目を閉じる坐禅を提唱しているように、天台大師の坐禅は、基本的には観相念仏や誦経を伴う坐禅であり、過去の経典に示されたような「閉目」の坐禅であるといえます。

『小止観』では、「沈(心がふさいだ状態)」・「浮(心が浮ついた状態)」という間違った心理状態の坐禅を戒めており、そのために、坐禅の開始直後は開目を認め、禅定に入り心が整った後は閉目にする、と判断できます。



*『小止観』(しょうしかん)または『修習止観坐禅法要』(しゅうしゅうしかんざぜんほうよう)

大正新脩大蔵経 諸宗部 1915
著者…智顗(ちぎ・538~597・中国天台宗の開祖、随代に活躍、天台智者大師)
記事中との関係箇所…修止観法門調和第四。・・・次当閉口、唇齒纔相拄著、挙舌向上齶。次当閉眼、纔令斷外光而已。然後、当端身正坐、猶如矴石。・・・


*『止観輔行伝弘決』(しかんぶぎょうでんぐけつ)

大正新脩大蔵経 諸宗部 1912
著者…湛然(たんねん・711~782・中国天台宗第6祖、唐代に活躍、荊溪尊者)
記事中との関係箇所…卷第四之四。・・・次閉口鼻中内清氣。如是至三。若息已調一度亦足。次閉口脣齒纔相拄。舌向上齶閉眼纔令斷外光。・・・


*『法華三昧懺儀』(ほっけざんまいせんぎ)

大正新脩大蔵経 諸宗部 1941
著者…智顗(ちぎ)
記事中との関係箇所…第十明坐禪實相正觀方法・・・行者行道誦經竟。當就坐處。入繩床中齊整衣服端身正坐。閉眼合口調和氣息。寛放身心。一一如坐禪前方便中説。然後歛念正觀破壞罪業。云何明正觀。如菩薩法不斷結使不住使海。觀一切法空如實相。是名正觀。・・・

since 2005/4/12 - last modified 2005/4/18



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