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曹洞宗の坐禅底本

永平道元禅師著述の『普勧坐禅儀』には、

「目は須らく常に開くべし。」

とあり、同様に『正法眼蔵坐禅儀』では、

「目は開すべし。不張不微なるべし。」

瑩山紹瑾禅師撰述の『坐禅用心記』では、

「眼は須らく正しく開くべし、張らず微からず。」

とあります。微妙に記述が異なりますが、総じて

「目は大きく開けすぎず、薄目にもしない。」

という意味に理解すればよいでしょう。『解脱道論』(念仏行の教え その3参照)の記述に近い書き方です。『弁道法』では、さらに次のような記述が加えられ、丁寧な解説がなされています。

「とりわけ眼を閉じることはいけない。眼を閉じれば、意識がはっきりしなくなる。常に目を開けていれば、微風が眼に当たり、意識もはっきりさせられる。」



*『普勧坐禅儀』(ふかんざぜんぎ)

大正新脩大蔵経 続諸宗部 2580
著者…希玄道元(きげんどうげん・1200~1253・日本曹洞宗の開祖、承陽大師)
記事中との関係箇所…・・・舌掛上腭、脣齒相著、目須常開、鼻息微通、身相既調、欠気一息、左右揺振、兀兀坐定、思量箇不思量底。不思量底、如何思量。非思量。此乃坐禅之要術也。・・・
(舌、上のあぎとにかけて、唇歯、相つけ、目はすべからく常に開くべし。鼻息かすかに通じ、身相すでにととのえて、欠気一息し、左右揺振して、ごつごつとして坐定して、箇の不思量底を思量せよ。不思量底、いかんが思量せん。非思量。これすなわち坐禅の要術なり。)


*『正法眼蔵 第十一 坐禅儀』(しょうぼうげんぞう だい11 ざぜんぎ)

大正新脩大蔵経 続諸宗部 2582
著者…希玄道元(きげんどうげん)
記事中との関係箇所…・・・舌ハカミノ腭ニカクヘシ。息ハ鼻ヨリ通スヘシ。唇齒アヒツクヘシ。目ハ開スヘシ。不張不微ナルヘシ。・・・


*『坐禅用心記』(ざぜんようじんき)

大正新脩大蔵経 続諸宗部 2586
編者…瑩山紹瑾(けいざんじょうきん・1268~1325・日本曹洞宗太祖、常済大師)
記事中との関係箇所…
・・・舌拄上腭、息従鼻通、脣齒相著、眼須正開、不張不微。・・・


*『弁道法』(べんどうほう)

大正新脩大蔵経 続諸宗部 2584 『永平清規』中の1編
著者…希玄道元(きげんどうげん)
記事中との関係箇所…・・・切忌閉眼、閉眼昏生、頻頻開眼、微風入眼、困容易醒。應念無常迅速道業未明。・・・(切に眼を閉じることを忌む。眼を閉じれば昏、生ず。頻頻に眼を開けば、微風、眼に入りて、困、容易に醒む。まさに無常迅速にて、道業いまだあきらめざるを念ずべし。)
また別の箇所に、
・・・舌掛上腭、脣齒相著、目須正開、不張不微、莫以瞼掩瞳。・・・
(舌は、上のあぎとにかけ、唇歯、相つけ、目はすべからく正しく開くべし。張らずほそめず、まぶたをもって、瞳をおおうことなかれ。)
という記述もあり。

since 2005/4/12 - last modified 2005/4/18


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