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いま、ここ(第2話)

じゃあ、こういう話はどうでしょう。

瑞巌の彦和尚、毎日自ら主人公と喚び、復自ら応諾す。乃ち云く、
惺々着、喏。他時異日、人の瞞を受くること莫かれ、喏々と。
(ずいがんのげんおしょう、まいにちみずからしゅじんこうとよび、またみずからおうだくす。すなわちいわく、せいせいじゃく、だく。たじいじつ、ひとのまんをうくることなかれ、だくだくと。)

出典は『無門関』第12則「巌喚主人」。瑞巌師彦和尚という人は、毎朝自分自身に語りかけていたそうな。
「おい、自分よ。」「はい、目覚めておりますとも。」
「うっかりして、振り込め詐欺にひっかかるでないぞ。」「はい、はい。」

誤解があるといけないので書きますけど、この和尚は、べつに精神分裂症とか二重人格ってわけじゃあないですよ。しっかりとしたお悟りを体得した上で、毎日自分に言い聞かせていたのです。言ってみれば、おじいちゃんが毎朝仏壇にお経を唱えて、ご先祖様にお祈りしているのと同じようなものです。

私たちの人生は「分かれ道」の連続であり、いつでも取捨選択をせまられ、迷い苦しんでいるのだとはいえないでしょうか。「いま、ここ」の自分に迷いが生じた時には、ちょっと間を置いて、自分の心に問いかけてみてください。「いま、ここ」はどうであろうか、自分の頭ン中はクリアだろうか、と。臨済や瑞巌の言葉を思い出すのです。しっかりと自分自身を見つめていなさい。いろいろと迷いが生じる場面が多いけれど、自分自身を見失うことなく、しっかり行動しなさいよ、という忠告を。


…だけど残念なことに、詐欺に遭う時には「迷い」がなく、コロッと引っ掛かっちゃうんですよね…(涙)
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